第47回住まいづくりサロン
「海鳴り届く住まい 完成見学会」
〜最近のサッシュとガラス事情〜

日 時 :2008年6月14日(土)
場 所 :株式会社すぎはら・海鳴り届く住まい
出席者 :大人22人・子供8人



 今回のサロンでは、完成見学会と合わせ、「最近のアルミサッシュとガラス事情」に関する話を伺いました。「株式会社すぎはら」を会場に、トステムの技術者から様々な説明を受けました。ペアガラス、防犯合わせガラス、断熱ガラス、強化ガラス…。ガラスひとつ取り上げても多種多様ですね。
 我々の暮らす住まいは、生垣や植栽に囲まれ、深い軒内に守られていました。しかしそれは、もう昔のことなのでしょうか。丸裸で、傘も差さずに立ちすくむような住まいが、現在は増えてしまいました。総2階、軒の出なし、下屋なし、植栽なし…。
 これだけの要素を削除しておいて、防犯、断熱、プライバシーの確保等、様々な性能、機能をガラスにばかり求めるのは、少々酷な話に思われました…。庭に一本の落葉樹を植えるだけでも、室内の温熱環境は違ってきます。

 ミニ勉強会を終え、徒歩で見学会場へ向かいました。多少の残工事は有りましたが、竣工して間もない初々しい住まいを皆さんに見学して頂きました。建て主さんの家業は、元々サッシュ屋さん。建設業の資格を取って、工務店の仕事を始めた方です。高さを抑え、しっとりとした雰囲気の「葦合板」の天井。天井高さを押さえた代わりに、居間の一角や和室の床を下げることで生まれた、穏やかに変化する空間。数段下がった場所は、空間的な溜まりというか、落ち着いた雰囲気の場所に変わるのが不思議ですね。
 住まい手であり、作り手でもある建て主さんの、こだわりが随所に詰まった住まいだったかと思います。ひとくちに木の住まいと云っても、その表情は様々ですね…。

サロンの様子サッシュやガラスのミニ講演に熱心に耳を傾ける参加者の皆さん

サロンの様子
サロンの様子海鳴り届くすまい (設計:アトリエ樫 施工:すぎはら)

〈感想カードの紹介〉

  1. 使われている木や漆喰、畳等の素材が気持ちの良い家だと思いました。家族ひとりひとりの居場所がはっきりしていて、日々の生活が見学をしていて浮かんできました。収納がたくさんあり、奥様にも居心地の良い家かなと思いました。
    坂田談:今回の床は杉板の無地を使いました。節の有無は、個々皆さんの好みにも寄りますが、部屋の雰囲気は大きく変わりますね。(木綿と絹の違いに似ているかな…。)
  2. 台所の天板のウォルナットが、他とあまりそぐわないよう感じました。階段の踏み板を通してある部分は、ぶつけて泣きそうと思いました。
    坂田談:階段の蹴込み板(垂直面の板)が無い、通称ストリップ階段は怖いと時々言われます。確かに慣れないと怖いかも。但し、風や光が抜けて行くなどの、メリットもありますよ。
  3. 家全体に木の匂いがして、風の心地よさを感じられる、とても居心地の良い空間でした。また、軒が長くデッキにいても、家の中にいる感覚がしてよかったです。
    坂田談:濡縁はいいですよね、スノコの床を張っただけで、家が広々としてきます。敷地いっぱいに建物を建てて、濡縁も庭も無いというより、建物は小さくつくって広々とした濡縁がある方が、心豊かに暮らせるかも。
  4. 1階部分の天井が低いせいでしょうか、広々としているのに、落ち着いて感じられました。全面フラットではない段差のある床面が新鮮で、今後の参考にしたいと思います。
    坂田談:床に段差を付けるのは、空間の使い方にある意味縛りを付けるので、注意して行った方が良いと思いますが、落ち着いた雰囲気の場所が生まれることは確かですね。設計する側も、多少勇気が要ります。