浜松市中央区有玉にある旧家・高林家は屋敷構えが一体で残り、14の建造物が国登録有形文化財となってます。髙林兵衛(1892-1950)の自宅として建設された「主屋(1929年/昭和4年建設)」は、髙林兵衛と民藝同人により民藝の意匠を実現した最初の常住の住宅だそうです。また1931年に新築された「田舎家」と呼ばれる民家建築は、日本で最初の常設民藝館でもある日本民藝美術館として使用された歴史があります。
その高林家にてご当主の広中雅子さんと、しずおか木造塾塾長の早津さんに建物や民藝の歴史を案内していただきながら、午前中は参加者全員でお掃除ワークショップ、お昼を挟んで午後は見学会&意見交換会を行い、民藝の歴史に触れながら建物の理解を深める貴重な1日を過ごしてきました。
お話の一部を紹介すると
・敷地内には主屋、田舎家、隠居の含め十数個の建築物があり、それらを入れて国登録有形文化財となっているのは珍しい。
・主屋の茶の間は12畳と当時にしてはめずらしく、祖父が家族で楽しめることを考えたと思われる。
・台所が茶の間の隣かつ床がフラットなのも先進的。
・曽祖父が大井川のダムの建設に関わっていたため、電気を引けていた。この周辺はまだガスが普及していない時代にオール電化の家であった。
・茶の間と続くテラスは床が300ミリ下がっている。茶の間の床座とテラスの椅子座の目線が揃う配慮。
・天井板、建具、座卓にはヤマハの突板が使用されている。楽器製造で培われた技術が住宅設計に盛り込まれている。
・内部の壁は掛川の葛布を刻んで練り込んだ葛壁。
・家具は木漆工芸家の黒田辰秋(重要無形文化財保持者=人間国宝)作
・室内の建具デザインに卍くずしが用いられている。当時の流行を取り入れている。
他、普段では目や耳にすることのできない内容が満載でした。
最後に広中さんから「この家(主屋)は来訪されたみなさんが“居心地がいい”と言ってくださる。私もそう思う。それは民家(大きなお屋敷ではない、普段の家)に価値がある事であり、それがいい事だと思う」とご自身の体験から感じる民藝の心を話されてました。